「OPOLアプローチ」によるマルチリンガルな教育法とは。

「OPOLアプローチ」によるマルチリンガルな教育法とは。
 
「ママ、自転車を持って公園へ行こう、早く!」。玄関を開けながら懇願する4歳の息子に母親が返事をためらうと、息子は父親に対し、「Papa, andiamo fuori, portiamo la bici daiiiii」とイタリア語でお願いするのです。バイリンガルの子供は幼少期から既に、話しかける相手に合わせて言語の使い分けをこなします。しかしそれは生まれつきのものではなく、家庭でのルールに沿って成し得る行動でもあります。
 
子供を育てる上で、どの国に住むかが言語習得の重要なファクターになります。例えば、筆者のように、オーストラリア生まれで英語を話す母とイタリア人の父の子供がイタリアで生まれ育つと、イタリア語が自ずと子供の優先言語となります。よって、バイリンガルまたはマルチリンガルの教育をする上で、両親の工夫や努力が必須となって来るのです。筆者は、子供が接する中で唯一英語を話すことができる為、子供にはできるだけ英語で話し、彼らの父親や周りの人たちがイタリア語で話しかけるという、「OPOLアプローチ」を実践したそう。(「OPOLアプローチ」とは「One Person, One Language」の略で、子供に対し家族の一人一人が固定した言語の担当をするという教育法。)OPOLアプローチは両親だけでなく、子供間でも十分発揮することができます。筆者は、子供とそのアルゼンチン出身の友達がスペイン語のみで会話することを試み、結果英語、イタリア語、スペイン語の3言語を話すことができるようになりました。
 
筆者が他の人とイタリア語で話し子供にのみ英語で話しかける、といった言語の使い分けは必ずしも周りから受け入れられることではありません。特に子供が自身の友達から言語を習得する頃には、筆者が言語習得を強要していると子供を気の毒に思う人もいたそう。しかし、筆者の考えからすると、子供たちは自然な環境で容易にマルチリンガルになっていったそう。子供に対しだけでなく、周りの理解しない言語で子供と会話することは失礼だと感じる人がいることも事実。しかし、(家庭内では英語、外出先ではイタリア語など)環境に合わせて言語を変えてしまうのは「OPOLアプローチ」の効果を減少させてしまうのです。
 
マルチリンガルに子供を育てるには、文化の融合も大事な要素となります。多種多様な食事や音楽、各国の祝日やお祝い事を行うなど、子供の生活にマルチカルチャーを取り入れることは、子供が多国籍な家庭を受け入れる助けとなるからです。
 
「OPOLアプローチ」は子供をマルチリンガルに育てるにあたってとても効果的であるけれども、筆者の例のように、その過程にはもちろん両親の努力が欠かせない。しかし、子供を英語教室に通わせるだけで満足するのではなく、日々の会話に多言語を取り入れ多文化を慈しむといった両親の工夫は子供のスムーズで質の高い言語習得を可能にし、そして彼らの成長にもポジティブな影響を及ぼすことは間違いない。