1日1時間の英語クラスでバイリンガルに? 「赤ちゃん言葉」を使った言語教育法とは?

 

英語の義務教育が中学生から小学校高学年へと前倒しになった今、より幼い時期から子供に英語を触れさせて将来の言語力を高めたいという思いは教育機関、両親ともに意識下にあるはず。その際、もちろんバイリンガル、マルチリンガルな親の元で育った子供は、ユニリンガルな親の場合と比べて言語取得が有利になります。しかし日本の大半の家庭はユニリンガル。そこで、日本語だけを話す家庭で、どのようにして英語を子供に習得させるのかが課題になります。

 

今回は、アメリカはワシントン州立大学の研究チーム(I-LABS)が行なった教育法について紹介していきます。

 

当チームは、スペインのマドリッドにて、普段外国語に触れることのない子供に英語を学ばせる実験を行いました。対象は7か月から33.5ヶ月(2歳8か月)の幼児で、勉強時間は1日1時間、計18週間。英語教育のメソッドとして用いられたのは、いわゆる「赤ちゃん言葉」です。赤ん坊にわかりやすい簡易的な文法や言葉を用い、高音でアクセントを強調した話し方で語り掛けるのです。

 

18週間の実験結果は驚くべきものでした。通常幼児たちは毎時約13個の英単語やフレーズを覚えるのに対し、I-LABSのメソッドで英語を学んだ幼児たちは毎時平均74個もの英単語やフレーズを覚えたのです。今回対象となった幼児の家庭は高収入から低収入までが含まれ、両親ともに1カ国語しか話さない家庭でした。ということは、幼児たちがどのような環境で生活していようとI-LABSのメソッドが効を労したということになります。

 

また、実験終了の18週間後に再度幼児たちの英語スキルを測定したところ、I-LABSのメソッドで得た英単語を十分に記憶していることがわかりました。またその記憶度合は収入レベルの異なる学校間で差がなく、子供達の生活環境がI-LABSメソッドの効力に影響しないということが再確認されました。更には、英語を学んでいながらも、母国語であるスペイン語の習得も阻害されることなく、2カ国後を同時に学習できていることがわかりました。
従来、米国では、第2カ国語を母国語とする家庭に生まれた子供は、共通語の英語に触れる機会が十分でないため、他の子供に遅れを取るケースが多くありました。しかし以上の実験から、たった1日1時間、幼い時期から「赤ちゃん言葉」を使った英語教育を始めることで、我が子をバイリンガルに育てることがどの家庭にもできることが立証されました。日本でも始まっている英語教育の早期化。英語の「赤ちゃん言葉」を使った学習法で、日本の子供たちの言語習得も格段に変わるかもしれません。

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