多国語習得を超えた「バイリンガル教育」のメリットとは

バイリンガル教育」というと、どのような風景を思い浮かべるでしょうか。日本の中高等学校での英語の授業も通常バイリンガル教育と捉えることができるはずです。最近では、初等教育の高学年から英語の授業をカリキュラムに採用するなど、日本の教育現場は過渡期を迎えています。我が子をバイリンガルにし、より世界との交流を可能にするためにはどのような「バイリンガル教育」を行えば良いのでしょうか、

今回はブラジルの「バイリンガル教育」のモデルケースを紹介します。
サンパウロにあるプレイペン・バイリンガル・エデュケーション(Playpen Bilingual Education、以下PBE)では、幼児(生後14ヶ月から5歳まで)のクラスを英語のみで行い、英語の音楽を聴いたり先生の発音を真似たりすることをメインに、自然でネイティブな英語の習得を目標としています。しかし、初等部(6歳から11歳まで)に進むと、クラスで使われる言語は英語が50%、ポルトガル語が50%となり、常に両方の言語が混在するような環境にしています。そして、生徒が高学年に上がるにつれてよりポルトガル語をより意識したクラスへと移っていきます。

このように多言語を融合する教育法には、複数の言語を習得する以外に様々なメリットがあります。
1つは認知制御機能を養うことができること。認知制御機能とは、例えば速い問題解決能力や優れた計画能力など、目標に対する効率的なステップを計画することが得意になります。そして環境や文脈に応じて言語を選択することから、より場に適した振る舞いをすることができるようになると考えられています。さらには、多言語を使い分けることにより脳の老化を遅らせ、認知症の発症を防ぐとも言われています。
しかし日本において、PBEのように完全な多言語融合を行っている教育機関は少ないのが現実です。そこでどのような取り組みが家庭でできるかというと、両親と子供が多言語でコミュニケーションを取ることです。特に親と接する時間の長い幼児にとっては、両親が複数の言語を理解した上で、子供が自分の伝えたいことを表現できる言語を選べる環境を作ってあげると良いでしょう。そして、言語以外にも音楽をたしなむことが良いとされています。音楽には歌詞と多数の音の層が混在しており、それぞれを認知する行為が言語選択をする際の脳の働きを養うことができるためです。ピアノやギターなど楽器を習うことも脳をより活性化させることに役立ちます。

「バイリンガル教育」とは、外国語で読み書きができるようになること以上に、複数言語をより巧みに扱える脳を養うということが重要なポイントです。そして、脳の働きを活性化させるには、学校のカリキュラム以外にも家庭で取り組めることがあります。今日からでもご家庭で外国語を会話に取り入れてみてはいかがでしょうか?