学校では教えてくれない現代英語

日本の学校の英語授業では、英単語や文法を学び、それを覚えて正しく使えることを目標にしていることが多くあります。しかし、教科書に出てくる内容を全て習得したとしても、カバーしきれない「今を生きる言葉」もあるのです。今回は、その中から「ポリティカル・コレクトネス」という思想の普及と共に消滅したり、新しく生まれたりした言葉を紹介します。
 
まずはじめに、「ポリティカル・コレクトネス(Political Correctness)」とは、直訳すると「政治的に正しい」ですが、政治に限らず人種・宗教・性別など様々な分野において、偏見・差別を含まないことを指します。1980年代ごろからこうした考えが米国を中心に広がり、現在では、ポリティカル・コレクトネスに基づき、それに反する社会制度や言語表現は是正すべきとする考え方が一般的になっています。
 
その一例が、「Jap(ジャップ)」という言葉。一見イギリス人を意味するBritishを短くした「Brits」と同じようにJapaneseの略称であるかのように見えますが、英語圏ではタブーとされる呼び方です。なぜなら、「Jap」は第二次世界大戦中に日本人が付けられた蔑称だからです。現代においてそれを使用すれば、人種差別者だと思われてしまいます。
 
逆に、かつては差別的意味合いを持っていたけれど、現在は問題なく使われている言葉も存在します。例えば「Nitty-gritty(ニッティ・グリッティ)」。元々は18世紀ごろ黒人の蔑称として使われていたフランス語の「Nigritique(ニグリティーク)」が語源だと言われていますが、現代では「(問題の)核心」という全く違う意味で使用されています。それから、「Queer(クイア)」。以前は同性愛者の差別的名称として使われていたQueerですが、時を経て今では「LGBTQ」という言葉の中でQ:Questioning(自身の性自認や性的指向が定まっていない人のこと)として表現されたり、同性愛者やトランスジェンダーのコミュニティ間では、こうした人のことを親しみを持って「Q」と呼んだりして使用されています。
 
学校では習わないけれど、知っておくべき現代英語の数々。これらをその文化背景と共に理解することが、一歩先を行くバイリンガル学習の扉を開いてくれることでしょう。