教育に関する5つの間違った神話

 

「うちの家系はみんな理系だから、この子もきっと理系だね。」「もう年を取っちゃって新しいことがなかなか覚えられないよ。」何度となく耳にするこうしたせりふ。全て私たちの思い込みだとしたらどうしますか? 今回は、教育や学習に関して今まで信じられてきた「神話」の是非を脳科学の視点から考えます。

 

1. 遺伝子だけで将来は決まらない
「遺伝子が脳の働きを決定する」というのは嘘。置かれた環境や経験によって、人間の脳は柔軟に変化していきます。つまり、どのような遺伝子をもって生まれたかよりも、若年期にいかに身体的・精神的な活動を行うかが、学校・職場・コミュニティでの将来の成功に寄与する。また、両親の学歴や経済力、ステータスといった生まれた時点で子供が与えられている環境ではなく、外に出て直接関わる外部の環境による影響が大きいのです。

 

2. 勉強に年齢時間はない
「人間には、効果的に勉強できる年齢制限がある」という神話は、大部分が科学的根拠を持たない嘘です。確かに、脳が柔軟で一番新しいことを吸収しやすい幼少期を逃してしまうと、その後の学習効果が十分に得られないということはあります。しかし、大人になってからでも脳には十分学習能力が備わっているため、本人に意欲があれば学ぶことに遅すぎることはありません。

 

3. 「遊ぶ」ことが心身の発達を促す
「子供の遊び時間は学習を妨げる」というのは全くの嘘。子供が走り回ったり、体を使って遊んだりする時、脳は行動や感情のコントロールの仕方、体の柔軟性を学んでいます。例えばデコボコした地面を歩いたり、異なるスピードで走ったり、バランスをとったりと、遊びの中でも脳の神経が活発に働いているのです。また、体を活発に動かすことは集中力の向上につながるので、学びの場でも集中して課題に取り組むなど二次的な効果が期待できます。

 

4. 学習においてテクノロジーは必須ではない
現代では様々なテクノロジーが教育の現場に導入されていますが、(学校への電子図書・電子ノートの支給、iPadの配布など)これらは、知力の向上において必ずしも必要ではないのです。脳が最も活発に働くのは社会で周囲と交流するときと言われており、学習能力の発達においても、科学技術に頼り過ぎず、対人コミュニケーションを十分に取ることが最も有効です。

 

5. 子供自身が、自分に最適な学習方法を見つける
効果的な学習スタイルは人によって異なるはずが、親や先生が子供に勉強法を指導することが多々あります。もちろんマナーや行儀など大人が教えるべきことはありますが、脳の発達において必要なのは、自分で様々な方法を試し、失敗しながら最適な答えを探す事です。大人が一から勉強方法を押し付けてしまうことは、その機会を奪ってしまう勿体のない行為です。

 

どうでしたか?あなたが疑わずに信じていた「神話」はもしかして嘘だったかもしれません。こうした根拠のない教訓や古い言い伝えは、時に私たちの考え方や行動を制御してしまう怖いものですね。ぜひ自由な発想で、ご自身やお子様の学習の在り方を考えたいものです。

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