世界人口の半分がバイリンガルと言われる中、日本での割合はわずか10%とされています。
実は日本語は、世界の中でも最も特殊で習得が難しいと言われている言語のひとつです。そんな特異な言語を話す日本人にとって、英語は文法構成の違いが顕著なのは確かで、中国語やスペイン語を話す人々に比べると英語習得が不利であると言えるかもしれません。しかし、本当にそれだけが日本人の英語習得を難しくしているのでしょうか?
日本人が最も課題と感じる英語の要素のひとつに、発音があります。
しかしそもそも、アクセントのない英語というものは存在しません。英語圏のどの国・地域にも固有のアクセントがあり、どれも英語として正解です。そしてそのアクセントこそが個性であり、会話に面白みを持してくれるものと考えられています。
ところが、日本人の多くは発音がネイティブではないことを恥ずかしく感じて発言を控える傾向にあるため、なかなか英語の会話力が上達しません。日本語訛りの英語は「悪い発音」・「間違った発音」であるという自負を日本人は今すぐ手放すべきです。たとえ発音が少しぐらい間違っていても、何を言おうとしているのかが伝われば良いのですから、恐れることはありません!
また、日本人は文法や単語を正しく使えなくてはいけない、というプレッシャーを必要以上に抱えているように思えます。それは、これまで日本の英語教育が文法や単語を重視してきたことが大きく影響しています。会話中に意味の分からない単語が出てくる度に「これはどういう意味だったっけ?」などと暗記してきた大量の単語の中から記憶を辿るといったプロセスをとりがちです。しかし、全ての単語を知らなくても、ボディランゲージを駆使したり、お互いに意味合いを確かめ合ったりするのがコミュニケーションの醍醐味でもあります。
例えば、日本語を勉強中のアメリカ人が、取引先の社長に向かって笑顔で「社長の奥さんはとってもきらいです」と言ってしまったとしても、「きらい」は「きれい」を意味していると容易に想像がつくので、社長の逆鱗に触れることなど恐らくないでしょう。英語も同じことです。
話を聞くときは相手の表情を見ながら、自分が話すときは表情豊かに身振り手振りを交えて。これこそが日本人がバイリンガルになるための近道です。
今日本の英語教育に求められるのは、「日本人が英語に対して持っている苦手意識を取り除くこと」ではないでしょうか。まずは、発音に対するコンプレックスを忘れ、完璧主義をやめること。パーフェクトじゃなくてもいい、等身大の英語でコミュニケーションが取れた時の達成感を、ぜひ大勢の人に味わっていただきたいです。